ベトナムで人気の漫画とは? 日本の漫画は翻訳されてる?

ベトナムにおける漫画の位置付け

しかし、ベトナムにおける漫画(ベトナム語:Truyen Tranh)は、一般な人々の解釈では「絵入りの物語」であり、子供向けの読み物として扱われており、内容的にも教育的・道徳的価値観が少ないという考えから、ベトナム社会ではあまり高く評価されていないのが実情です。

「絵入りの物語」としての漫画が、社会で高く評価されていないのは、長年にわたる中国儒教からの影響と考えられています。「物語(truyen)」の内容に教育的、道徳的価値観が無くてはならないと考える人が少なくないのです。

しかしながら10代20代のベトナム人の間では、漫画に親しんで育った人も少なくなく、徐々に状況は変化しているのでしょう。

現在ベトナムで出版されている漫画の80%は日本の漫画(残り15%は韓国、5%は中国の漫画)で、若い人たちは日本の漫画を楽しんでいるようです。

ベトナムの漫画の歴史

ベトナムで漫画は古くは、娯楽や教育、さらにはプロパガンダにも用いられてきました。

1960年代後期から1975年まで、漫画はサイゴンで多く出版されていました。当時、最も有名な漫画家はVo Hung Kietで、彼の漫画は子供達に大変な人気がありました。

1970年代には、海賊版がベトナム語に翻訳されたものが多く流通。中国の连环画(Lianhuanhua: 手のひらサイズの絵本で、連続的な絵が描かれている)やバンド・デシネ(フランスとベルギーの漫画)、アメリカン・コミックス(アメコミ)などが存在しました。

ベトナムの漫画の発展

ベトナム漫画の発展に大きな変化があったのは1987年以降です。

この時代の漫画はアメコミに似せて作られていましたが、1987年から1990年にかけて着実に発展し、漫画家の人数も、漫画のジャンルも増加していきました。さらに子供達の需要に答え、政府は漫画制作の促進を行いました。最も有名であった漫画家はHung Lanで、その漫画(“Vietnamese fairy tales”, “Toet and Xe”, “Co Tien Xanh”など)は多くの子供達に読まれていました。内容は、教育や道徳哲学などに関するものでした。

ドラえもんの公式出版

1992年にキム・ドン出版社が『ドラえもん』を発刊。ベトナムで公式に出版された初めての日本語の漫画となりました。


ベトナムでは小学館がライセンス出版を行うまで、国営の出版社キムドンが許諾を得ずに販売を行っていた。これを知った小学館は、それまでに著者の藤子・F・不二雄氏が得るはずであった印税についてキムドン社と協議。結果、そのおカネで「ドラえもん基金」を設立し、学校に行けない子どもたちのための奨学金として活用することになりました。この基金は今でも続いています。

『ドラえもん』は出版後4万部を超す大ヒットとなりました。この出版がきっかけで、ベトナムにおける漫画愛好家の第一世代が誕生したと言われています。

『ドラえもん』の成功を受けて、他の出版社も漫画の出版を手掛けるようになりました。1995年には、『美少女戦士セーラームーン』と『ドラゴンボール』が出版され、漫画旋風を巻き起こしました。また、多くの漫画が海賊版として出版されていたため、日本の漫画が安価に手に入るようになりました。そのため、道徳的教育的な内容のベトナムの漫画を抑えて、若者の心を掴むに至ったのです。

ベルヌ条約加盟

90年代、粗悪な海賊版の流通で普及した漫画ですが、2004年に状況が変わりました。

ベトナムはこの年、文学的および芸術的著作物の保護に関するベルヌ条約の拡大版に署名して、著作権を重んじるようになりました。結果、マンガの販売と内容の管理は、以降、厳しい規制を受ける事になりました。

ベトナムにおける漫画の現状

韓国漫画人気拡大

漫画は国営出版社のキム・ドン社の出版物のうち35%~40%を占めていますが、実際に大ヒットしていると言えるのは、『ドラえもん』、『名探偵コナン』などあまり多くはありません。

なお、ベストセラーの場合は1巻につき10万部が販売されますが、一般の漫画は2,000〜5,000部程度の販売が主流です。また、ベトナムでは日本の出版社が求める品質レベルを満たすために、子供や中学生に対して安くない値段で売られています。そのため、多くの子供達は貸本屋で漫画を借りることの方が購入するより多いのです。

また、近年は韓国ドラマの人気に牽引される形で、韓国漫画の人気も拡大しつつあります。

電子書籍の普及

インターネット上にはベトナムの漫画ファンが集まるフォーラムがいくつも立ち上がっています。その場では、ベトナム未出版の漫画の海賊版をオンラインで共有するといった事が、よく行われているようです。
また、日本語・英語版を無料で翻訳するチームも多く、ベトナム語を入れたものをファンの間で公開することも珍しくありません。

これにより、ファンサイトを経由して海賊版の漫画を無料で読む人が増加。漫画の貸本屋に足を運ぶ学生がここ数年少なくなっており、各出版社の売り上げや利益に大きな影響を与えている状態で、漫画事業から撤退する出版社も後を絶たないという現実があります。

そこでキム・ドン出版社は、2014年6月に携帯端末で利用可能な国際基準の電子書籍ライブラリーをベトナムで初めて開設しました。その後電子書籍サービスは増え続け、現在ベトナムでは電子書籍で漫画を購入することが一般的になっています。

ウェブサイトを用いたベトナム産漫画の普及

2014年にWEB上で若手作家の作品が無料で読める「Comi-cola」というサイトがオープン。サイト上にクラウドファンディング(少額投資)機能を備えており、漫画家(志望)が作品をサイト上に掲載、それを支持するファンたちが出し合ったお金を元に書籍化することができます。
このサイトを礎としてオリジナル漫画を出版した漫画家も少なくなく、ベトナムオリジナル漫画もこれから大きく発展していくことでしょう。

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