GDPの3割を占める大企業たち ベトナムの国営企業について知ろう

ベトナムではGDPの約3割

非国有部門の名目 GDP 額に占めるシェアは約 43%、国営企業が約 29%、外資が約 18%の順となっています。
近年は外資誘致の結果現象しているものの、国営企業はベトナム経済の約3割を占める大きなセクターとなっています。
ベトナムの主要産業である鉱業、インフラ系の会社などの多くを国営企業が占めています。
みなさんがご利用になっている、ベトナムエアラインも国営企業です。

国営企業の規模

ベトナムの国営企業数は政府による改革(後述)開始前の 1990 年に 1 万 2,000 社あったが、足元では 700
社まで削減されました。削減された企業の大半は、利益を生む可能性のない企業や事業規模が小さい企業です。

1990 年代は 4 割ですが現在は3割であまり減っていません。すなわち、国営企業の存在感は、企業数が大幅に減ったにもかかわらず依然として小さくありません。

重要産業を担う国営企業やそのコングロマリットグループは多く残っているため、セクター別にベトナムの企業規模の平均値を比較すると、国営企業は従業員数や資本が多く、売上高も多いことがわかります。

最近の国営企業の改革

1990年代から徐々に政府は国営企業の改革に着手しました。

ベトナムでは、ベトナム戦争後に敷かれた計画経済体制により経済発展が停滞したことから、1986 年の共産党大会で、市場経済化と対外開放政策への移行を推進するドイモイ政策が決定されました。

その政策の一環として、1992 年にベトナム政府は国営企業改革に着手しました。

これは、国営企業経営の効率化を目指して、国営企業の民営化、合併、買収、再編及び解散を実施するものです。改革初期の 1990 年代は企業法や証券市場の環境が整えられておらず、省庁や地方政府が管轄する中小規模の国営企業を中心に再編が行われました。

また、国家戦略上の重要産業6については複数の国営企業を集約し、グループごとに再編が計られました。

2005 年頃からは重要産業の国営企業が本業以外にも進出し、コングロマリットグループが形成されました。
その後、グローバル金融危機に伴い、ベトナムでも大規模な金融緩和が進められて資金調達が容易になり、コングロマリットグループは経営効率を無視した形で不動産や株式に投資し、さらに巨大化ていきました。
しかしながら、インフレ抑制のために金融引締め政策に転じた際に、コングロマリットグループでは多額の不良債権が表面化し、債務不履行や実質破綻に陥るところが出てくることになりました。

 

特筆すべき事項として、2000年ごろから政府は国営企業を株式会社化したうえで民営化(株式の民間への売却)を試みるようになりました。これは世界貿易機関(WTO)に加盟するために国営企業を国際基準に合わせた企業とする必要があったためと考えられています。

そのために、2005年に政府の国営企業への出資分を統括管理・運用する政府投資会社(ベトナム国家資本投資会社。以下、SCIC)を設置しました。また、株式会社化した企業は、資金調達方法の多様化とガバナンスの改善を目的に証券市場に上場させようとしました。しかし、国営企業は需給や価格の調整を通じた政府のマクロ経済操作や雇用確保等の社会的任務を担っていることから、さまざまな中央・地方の政府機関の経営介入があり、株式会社化や上場は計画通りには進みませんでした。

2011 年になると、ベトナム政府は経済成長重視の政策運営から、経済の安定と成長のバランスを重視した政策運営に転換し、国会において、2015 年までに政府が取り組むべき最重要課題の一つとして国営企業改革を掲げるようになりました。2014 年には国が保有すべき資本割合に応じて国営企業を 3 つに分類したうえで、株式会社化の対象となる国営企業を売却予定株式割合と共にリスト化しました。この頃から、株式の一部を民間企業へ売却する動きがようやく本格化した。

2016 年に発足した新内閣は、国営企業改革の加速を決定し、2014 年の分類基準の見直しと 2016 年から 2020 年の間に株式会社化を予定する 137 社のリストを公表しました。
さらに、2017 年 8 月には、2020 年までの国営企業の株式売却計画を発表しました。これは、スケジュールや資本金に対する売却比率を公表するだけでなく、国営企業の管轄省庁に四半期ごとに売却状況を財政省に報告することを義務付けています。

2018年の2月に、ベトナム政府は国営企業(SOE)を一括管理する新組織「国家資本管理委員会」を設立しました。これまで省庁、国家資本投資運営会社(SCIC)、地方自治体などがそれぞれに管理し、縦割りになりがちだった弊害を取り除き

※これまでは乳業最大手のベトナム・デイリー・プロダクツ(ビナミルク)がSCIC、ビール最大手のサイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)が商工省などと管轄が分かれており、各組織の思惑に応じて改革のスピードが異なっていました。

SOE改革を加速することを狙っています。

日本の会社がベトナムに進出する際の影響

日本企業がベトナムに進出する際、ベトナム大企業の多くは国営企業なので取引先となることは多くあるでしょう。
国営企業の管理体勢如何によっては、営業方法を変更する必要があるかもしれません。

また、民営化に伴いベトナムの国営企業の株式が売却されるので、
M&Aによってベトナム進出をするチャンスが訪れると言えるでしょう。

国営企業別に公表された資料によると、国営ベトナム航空については2019年までに政府保有株の86.2%のうち35.2%が売却される予定です。それに伴い、政府出資比率は51%に引き下げられます。

同国で22空港を運営するベトナム空港公社(ACV)は、2018年に政府保有株の20%、20年に10.4%が売却され、同社の政府出資比率が現在の95.4%から20年に65%となる予定です。

また、同国最大の繊維・縫製会社の国営ベトナム繊維・衣料グループ(ビナテックス)は、2018年に政府が保有する株式53.5%が全額売却されます。

政府は国営企業の民営化を進めたいと考えているものの、資金の出し手がいないことが課題となっています。ベトナムには保険会社や年金基金といった大規模な機関投資家が育っておらず、上場企業の株式を大量取得する個人や企業も不在です。

また資金力のある海外投資家は、非居住者による株式取得等の投資手続きが煩雑であることに加え、企業の財務内容の情報開示が不十分なことから、ベトナムへの投資を避けています。

ベトナム政府にとっては国営企業改革は喫緊の課題のため、
今後制度改革が進むと考えられます。

今後の投資環境に注目ですね。

 

 

 

 

 

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